ディンプルキーは本当に安全なのか検証
ディンプルキーは高い防犯性を持つと言われていますが、それは具体的にどのような点からなのでしょうか。また、本当に万全な対策と言えるのでしょうか。まず、ディンプルキーの安全性を支える大きな柱は、ピッキングに対する強さです。鍵の表面と側面に配置された複数のディンプル(くぼみ)と、それに対応するシリンダー内部の多数のピンの複雑な組み合わせにより、従来の鍵よりも格段にピッキングが困難になっています。熟練した鍵屋でも、ディンプルキーのピッキングには相当な時間と技術を要すると言われています。さらに、破壊開錠に対しても一定の耐性を持っています。ドリルなどによる鍵穴の破壊を防ぐために、シリンダー内部に超硬部品を使用している製品も多く存在します。また、鍵違い数(鍵のパターンの総数)が数百万から数億通り以上と膨大であるため、理論上、同じ鍵が偶然に存在することは極めて稀であり、合鍵の不正複製も非常に難しいとされています。多くのメーカーが採用しているオーナー登録制度やセキュリティカードシステムも、不正な合鍵作成を防ぐ上で有効な手段です。しかし、「絶対に破られない鍵」というものは存在しないということも理解しておく必要があります。非常に高度な技術を持つ犯罪者や、特殊な工具を用いれば、理論上はどんな鍵でも開けられてしまう可能性はゼロではありません。また、鍵自体の性能が高くても、ドアの他の部分(ドアの材質、蝶番、ドア枠など)の強度が低ければ、そこが侵入経路となる可能性もあります。したがって、ディンプルキーを導入することは非常に有効な防犯対策ではありますが、それだけに頼るのではなく、窓の施錠、補助錠の設置、防犯カメラの導入など、複数の対策を組み合わせることが、より総合的な安全性を高めるためには重要です。